役不足
これは、意味そのものを取り違えやすい言葉です。本来は「その人の力量に対して、役目が軽すぎる」という意味。ですから「私では役不足ですが」と謙遜のつもりで言うと、「この程度の仕事では私の実力がもったいない」という、とても傲慢な意味になってしまいます。謙遜したいときは「力不足」と言うのが正解ですね。
せっかく「ことわざ」を覚えても、使いどころを間違えると台無しですよね。実は「ことわざ」には、使う相手や場面を選ぶものが少なくありません。ここでは「ことわざ」を気持ちよく使うためのコツと、うっかりやりがちな失敗を見ていきましょう。
まず気をつけたいのが、相手を評価するような「ことわざ」です。褒めているつもりでも、失礼にあたることがあります。
これは、意味そのものを取り違えやすい言葉です。本来は「その人の力量に対して、役目が軽すぎる」という意味。ですから「私では役不足ですが」と謙遜のつもりで言うと、「この程度の仕事では私の実力がもったいない」という、とても傲慢な意味になってしまいます。謙遜したいときは「力不足」と言うのが正解ですね。
意味は「人に親切にすれば、めぐりめぐって自分に返ってくる」。良い意味の「ことわざ」ですが、「情けをかけるのはその人のためにならない」と誤解している人もまだ多い言葉です。相手がどちらの意味で受け取るか分からない場面では、使わないほうが安全かもしれません。
どちらも「名人でも失敗することがある」という意味で、失敗を慰める言葉です。ところが、これを目上の人に向けて言うと「あなたも人間ですね」と上から評価しているように聞こえてしまいます。慰めるつもりが、かえって失礼になるというわけですね。くわしくは「猿のことわざ」のページもご覧ください。
次は、相手をおとしめてしまうことになってしまう「ことわざ」を紹介します。
どれも「価値の分からない相手には何を言っても無駄」という意味です。つまり、相手を「分からない人」と決めつける言葉なんですね。本人の前で使えば、まず間違いなく気分を害します。
「価値の分からない人に、どんなに立派なものを与えても無駄」という意味ですが、こちらは「豚」という言葉が入るぶん、さらに強く響きます。豚と狼のことわざのページでも紹介していますが、使う場面は選ぶようにしましょう。
「どんな人でも着飾れば立派に見える」という意味です。服装をほめたつもりでも、「普段はみすぼらしい」という前提が隠れていますので、本人に言うのは失礼にあたります。
「ことわざ」には、他人を評する言葉として生まれたものが多くあります。自分について使うと、妙なことになるものがあるので気をつけましょう。
先ほども挙げましたが、自分が親切にしたあとで「情けは人のためならず、ですから」と言うと、「見返りを期待しています」と宣言しているようなものですね。
「自分は能ある鷹なので」と言ってしまえば、爪を隠せていません。これは他人を評する言葉として使うものですね。
何もしていない自分を正当化するのに使うと、ただの言い訳に聞こえます。やるべきことをやったあとでこそ、生きる言葉です。
お祝い、お悔やみ、ビジネスシーンなど、場面を選ぶ「ことわざ」を見てみましょう。
結婚式などでは、「切れる」「別れる」「終わる」を連想させる言葉を避ける習慣があります。「ことわざ」でいえば「立つ鳥あとを濁さず」なども、別れを思わせるため慎んだほうがよいでしょう。
「重ね重ね」「たびたび」といった重ね言葉は、不幸が繰り返されることを連想させるため避けられます。「二度あることは三度ある」のような言葉も、この場にはそぐわないですね。
「捕らぬ狸の皮算用」や「皮算用」は、相手の計画を否定する言葉です。会議で使うと、たとえ正しくても角が立ちます。言い方を工夫したいところですね。
もう一つ、意外と見落とされがちなのが「使いすぎ」です。
「ことわざ」は短い言葉で的確に言いあらわせる便利な道具ですが、便利すぎるがゆえに、自分の言葉で考えることをやめてしまう危険もあります。
会話のたびに「ことわざ」が飛び出すと、相手は「本当に分かって言っているのかな」と感じるものです。ここぞという場面で一つだけ使う。そのほうが、ずっと効きますよ。
また、「ことわざ」は結論を決めつける力が強い言葉でもあります。たとえば「二兎を追う者は一兎をも得ず」と言われてしまえば、それ以上の議論はしにくくなりますよね。相手の考えを封じるために使うのは、フェアではないかもしれません。
最後に、「ことわざ」を気持ちよく使うためのコツをまとめておきましょう。
「役不足」のように、意味を取り違えたまま広まっている言葉は少なくありません。使う前に一度、辞書で確かめる習慣をつけるようにしましょう。意味が変わってしまった「ことわざ」については、別のページでも紹介しています。
同じ「ことわざ」でも、言う相手によって響き方はまるで違います。特に、相手を評価する言葉は慎重に。自分が言われたらどう感じるか、一度想像してみるといいですね。
「〜と言いますからね」「昔から〜と言うでしょう」と添えるだけで、ずいぶん角が取れます。自分の断定ではなく、昔からの言い伝えを紹介している形になるからですね。
「ことわざ」は、何百年も人々に使われ続けてきた、磨き上げられた言葉です。だからこそ力があり、だからこそ扱いに気をつけたいもの。上手に使えば、あなたの言葉はぐっと豊かになりますよ。
「動物にまつわることわざ」のページでいろいろな「ことわざ」をたっぷり紹介していますので、使い方の例文とあわせてご覧ください。