ことわざ動物園

猿にまつわることわざ

つい最近もテレビでモンキーセンターの番組を見ましたが、そこにも気の荒い野生猿がたくさんいました。
昔話などにもよく出てきますが、いたずら好きの悪者というイメージがありませんか?
ここでは、猿にまつわる「ことわざ」を紹介しましょう。

猿にまつわる「ことわざ」

猿も木から落ちる

猿も木から落ちる
意味

どんなにその道に優れていても、時には失敗をすることがあるということ。

由来

木登り名人といわれる猿でも時には木から落ちることもあることに由来しています。同じ意味の「ことわざ」に「河童(かっぱ)の川流れ」、「弘法にも筆の誤り」などがあります。

使い方

Aテレビを見ていたら、プロのダンサーがステップを間違えていたんだ。

Bやっぱり、猿も木から落ちるんだね。

木から落ちた猿

意味

頼みにするところ、よりどころを失って、どうしたらいいか分からない状態のたとえ。

由来

木の上では悠々と動ける猿も、誤って木から落ちてしまうと身動きがとれなくなることに由来しています。「木より落ちた猿」とか「木を離れた猿」という言い方もしますね。同じ意味の「ことわざ」に「水を離れた魚」、「陸(おか)へ上がった河童」、「頼みの綱も切れはてる」などがあります。

使い方

A彼、技術者なのに急に事務職にまわされたんだって。

Bそれじゃ、まるで木から落ちた猿だね。

猿に烏帽子(えぼし)

意味

人柄にそぐわない服装や言動をすること。

由来

猿が烏帽子を被っても似合わないことに由来しています。烏帽子とは昔、公家や仕える人たちの日頃からかぶっていた帽子のようなものです。

使い方

Aめずらしいね。今日はお隣さん、派手な格好して…。

Bうん、猿に烏帽子って感じ。

猿の水練

意味

まったく、あり得ないこと。

由来

猿は泳げないと思われていることに由来します。ですが、基本的に猿は泳ぎの得意な動物なので、これは誤解ですね。この「ことわざ」のあとに「魚の木登り」と続けると、見当違いのことや正反対の行為などを指す「ことわざ」になるんですよ。

使い方

A昨日、あの人が言っていたことって本当かな?

Bまさかー!そんなの猿の水練だと思うよ。

猿の人まね

意味

考えもしないで、人まねをすること。

由来

猿は何でも人のまねすることに由来しています。ですが、それでうまくいくことはあまりないようです。自分の考えなしに人のまねだけをすると失敗するということですね。

使い方

Aこの前バッグ買ったばっかりなのに、また違うやつ買ったの?

B友達と買い物行ったの。私も猿の人まねで、必要ないのにすぐ買っちゃうんだよね。

犬猿の仲

意味

とても仲が悪いことのたとえ。

由来

犬と猿は昔から仲が悪いと言われていることに由来しています。「犬にまつわることわざ」のページでも取り上げていますが、猿の側から見ても代表的な「ことわざ」のひとつですね。ちなみに昔話「桃太郎」では、犬と猿がキジと力を合わせてオニ退治をします。

使い方

Aあの二人、同じ部署なのに全然口をきかないね。

B入社したときから犬猿の仲なんだって。

意馬心猿(いばしんえん)

意味

欲望や迷いの心をおさえられず、落ち着かないこと。

由来

仏教の言葉です。暴れる馬と騒ぎ立てる猿のように、人の心は煩悩によって乱れてじっとしていられない、ということに由来しています。

使い方

A試験前なのに、全然集中できないんだ。

B意馬心猿だね。まずはスマホを片づけてみたら?

猿猴(えんこう)が月を取る

意味

身の程を知らず、欲張って手を出した結果、失敗して身を滅ぼすこと。

由来

仏教の説話に由来しています。猿が水面に映った月を本物だと思い込み、木の枝からぶら下がって取ろうとしたところ、枝が折れて水に落ちてしまったというお話です。「猿猴」とは猿のことです。「猿猴月を取る」とも言います。

使い方

A貯金を全部つぎ込んで、大もうけを狙うんだって。

B猿猴が月を取る、にならないといいけどね…。

猿の尻笑い

意味

自分の欠点に気づかないで、人の欠点を笑うこと。

由来

猿のお尻はもともと赤いのに、自分のことは棚に上げて、ほかの猿の赤いお尻を見て笑うことに由来しています。同じ意味の「ことわざ」に「目くそ鼻くそを笑う」や「五十歩百歩」などがあります。

使い方

Aあの人、字が下手だよねって言われちゃった。

B言った本人の字も相当だよ。まさに猿の尻笑いだね。

猿が仏を笑う

意味

愚かな者が、優れた人の本当の値打ちを理解できず、かえってばかにすること。

由来

猿には仏様の尊さが分からないため、その姿を見て笑ってしまうことに由来しています。知恵の浅い者には、立派なものの価値が分からないということですね。

使い方

A先生の研究、地味すぎて意味ないって言ってる人がいたよ。

B猿が仏を笑うってやつだね。すごい研究なのにね。

猿に木登り

意味

よく知っている人に、わざわざ教えようとする愚かさのたとえ。

由来

木登りが得意な猿に、木の登り方を教えようとしても意味がないことに由来しています。同じ意味の「ことわざ」に「釈迦に説法」や「河童に水練」などがあります。

使い方

A先輩にパソコンの使い方を説明しちゃったんだ。

Bシステム部の先輩に?それは猿に木登りだよ(笑)

猿知恵

意味

一見かしこそうに見えても、実は浅はかな考えのこと。

由来

猿は賢い動物ですが、人間から見ると、その場しのぎの浅い知恵に見えることに由来しています。悪知恵を働かせた結果、かえって失敗するような場合に使われます。

使い方

A宿題を忘れた言い訳、完璧に考えてあるんだ。

B猿知恵だね。きっとすぐ見抜かれるよ。

猿の空虱(さるのそらじらみ)

意味

することがなくて、手持ちぶさたな様子。また、意味もなく体をいじること。

由来

猿が毛づくろいをして、シラミを探しているような仕草をしていても、実際には何も取っていないことに由来しています。

使い方

A待ち時間が長いと、つい髪をいじっちゃうんだよね。

B猿の空虱って感じだね。

猿って、どんな動物?

人間の祖先は猿といわれることからも分かるように、猿は人と本当によく似ている動物です。体重が100g以下の小さな猿から、ゴリラのように100kg以上の巨大な猿など、その種類は様々です。特徴としては木から木へと飛び移ることができる身体能力と手先の器用さなどがあげられます。食べ物は昆虫や果物、草など色んなものを食べます。種類によって木の上で生活する猿もいれば、地上で暮らす猿もいます。ただ共通しているのは、群れをなし、集団生活をすることですね。日本では生態学や遺伝学など幅広い方面から、猿の研究が進められているんですよ。

猿にまつわる伝説(昔話)

みなさんは猿が登場する伝説(昔話)といえば何を思い浮かべますか?多くの人は「猿蟹合戦」ではないでしょうか。ですが、今回ここで紹介するのは「猿婿入り」というお話です。このお話も「猿蟹合戦」と同じく、猿がこらしめられるというものです。可哀想なのですが、人間の猿に対する印象がよくあらわれている作品だと思います。

あるところに、おじいさんが三人の娘たちと一緒に暮らしていました。ある日、おじいさんが畑仕事をしていると、そこに一匹の猿が現れました。すると猿は仕事が大変そうなおじいさんの様子を見て、「代わりに仕事をやってあげるから、娘を一人嫁にくれ」と言いました。そして、あっという間に仕事を終わらせてしまったのです。おじいさんは渋々、三人の娘たちに猿との約束事を打ち明けました。そうすると末娘が猿のところへお嫁に行くことを承諾してくれたではありませんか!あくる日、娘は「里帰りするときに親に餅をついて持ってきてやりたい」と言って、重い臼とお米を猿に背負わせました。

道中、谷川のそばに咲いていた花がほしいと娘は猿にせがみました。猿は「どれ、取って来てあげよう」と言い、木に登りました。ところが、背負っていた荷物の重さで木が折れ、猿は川底に真っ逆さま。猿はこうして命を落としてしまったのです。娘はそのまま家に戻り、家族で幸せに暮らしました。

「猿婿入り」は地域によって、その内容が異なる場合もあります。娘が猿のところへお嫁に行くかわりに瓶と鏡をねだり、その鏡を川に落として猿に拾うように頼んだとする説や、おじいさんが畑仕事をしているときに「誰か手伝ってくれたら、娘をやる」とボソッと言った独り言を猿が聞きつけたとする説など様々です。