虎の子

大切に持ち続けて手放さないもののこと。秘蔵品。
虎は自分の子を大事に守り、ものすごく可愛がって育てるとされていることに由来しています。虎の母性愛からうまれた「ことわざ」と言えるでしょう。
虎の子の貯金をはたいて、彼は彼女にダイヤのリングを贈りました。
中国の故事にもよく登場する虎。動物園やサファリパークなどで見かけますね。日本では虎といえば黄色と黒のイメージですが、実際はどうなのでしょう?
そんなことも織り交ぜながら、ここでは故事成語も含めて虎にまつわる「ことわざ」を紹介していくことにしましょう。

大切に持ち続けて手放さないもののこと。秘蔵品。
虎は自分の子を大事に守り、ものすごく可愛がって育てるとされていることに由来しています。虎の母性愛からうまれた「ことわざ」と言えるでしょう。
虎の子の貯金をはたいて、彼は彼女にダイヤのリングを贈りました。
自分は大したことはないにもかかわらず、他人の権力をかさに着て威張る人のこと。
キツネは自分のあとに続いて虎を歩かせた時、ほかの動物たちは虎を見て逃げたのだけど、虎はキツネが強いからだと思い込んでしまったことに由来しています。
あのリーダー格の男の子のそばにいつもいる彼は、虎の威を借るキツネですね。
一つのわざわいを防いだところに、また別のわざわいが降りかかってくること。
前の門から来た虎を追い払ったと思ったら、今度はうしろの門から狼がやってくることに由来しています。同じような意味の「ことわざ」では「一難去って、また一難」、「虎口(ここう)を逃れて龍穴(りゅうけつ)に入る」などが挙げられます。
やっと洪水がおさまったと思ったら、今度は台風が近づいてきた…このことを前門の虎、後門の狼と言うのでしょう。

ただでさえ強い者に、さらに何かほかの威力を加えること。もとから勢いのあるものに、より力を加えて一層勢いづかせること。
とても強い動物として知られている虎に、もし翼がついたら…?と考えた人がいたのでしょう。ちなみにこの言葉は中国の『韓非子』が出典です。日本では「オニに金棒」のほうが有名ですよね。ほかに「馬に鞭(むち)」、「火に油を注ぐ」なども似たような「ことわざ」です。
頼れるあの人がチームに戻ってきてくれたから、もう虎に翼ですね!
肩書きだけ立派だけれど実力のない人や、弱いくせに見栄を張って強く見せようとする人。また、うなずくクセがあったり、何にでも同意して自分の意見を持っていない人のたとえ。
意味が二通りあることから分かるように、それに関する由来も二通りあります。一つ目は「張り子の虎」と聞くといかにも大きくて強そうに思うかもしれませんが、実は材料に竹と紙を使って作った虎のおもちゃということに由来しています。二つ目はこの「張り子の虎」、首を縦に振るしくみになっていることに由来しているんですね。
彼は一見怖そうで近寄りがたいけど、実は張り子の虎で本当はとっても優しい人です。
危険を冒さなければ、大きな成功や望むものは手に入らないということ。
中国の歴史書『後漢書』が出典です。虎の住む穴に入らなければ、虎の子を手に入れることはできない、という意味から生まれました。後漢(ごかん)の武将・班超(中国・後漢時代の有名な武将・外交官)が、部下たちを奮い立たせるために言った言葉だと伝えられています。
リスクはありますが、虎穴に入らずんば虎子を得ず。思い切って挑戦することにしました。
とても危険なことをするたとえ。
虎の尾を踏んでしまえば、襲いかかられて命が危ない、ということに由来しています。「虎の尾を踏む思い」という形でもよく使われます。似た意味の「ことわざ」に「薄氷を踏む」があります。
機嫌の悪い部長にその話を持っていくなんて、虎の尾を踏むようなものですよ。
一つの危険から逃れたと思ったら、また別の危険に出くわすこと。
虎の口から命からがら逃げ出したのに、今度は竜の住む穴に飛び込んでしまう、ということに由来しています。「前門の虎、後門の狼」と同じ意味の「ことわざ」ですね。
渋滞を避けて裏道に入ったら、今度は工事で通行止め。虎口を逃れて竜穴に入る、でした。
虎が死んだあとに立派な毛皮が残るように、人は死んだあとに名誉や功績を残すべきだということ。
中国の『五代史』が出典とされています。価値あるものを後世に残すことの大切さを説いた言葉です。
彼の功績は今も語り継がれています。虎は死して皮を留め、人は死して名を残す、ですね。
危険なものを自由にさせて、わざわざ災いのもとをつくること。
おりに入れておくべき虎を、野原に放してしまうことに由来しています。似た意味の「ことわざ」に「盗人に鍵を預ける」などがあります。
あの人に自由に使えるお金を持たせるのは、虎を野に放つようなものです。
実力の伯仲した強い者同士が、激しく勝負を争うこと。
中国では、竜と虎がどちらも最強の存在とされてきました。その二つが、ぶつかり合う様子に由来しています。「竜虎相搏つ」と書いて「りゅうこあいうつ」「りょうこあいうつ」と読みます。
決勝戦は両校のエース同士の対決で、まさに竜虎相搏つという展開でした。
事実でないことでも、多くの人が言えば本当のことのように信じられてしまうということ。
中国の『戦国策』が出典です。「町に虎が出た」と一人が言っても信じませんが、二人、三人と同じことを言うと、人は信じてしまう、というお話に由来しています。うわさの恐ろしさを説いた言葉ですね。
根も葉もない話が広まってしまいました。三人虎を成す、とはこのことです。
他人の力を頼りにして、自分の目的を果たすこと。
強い虎に乗って、弱い狐をやっつけることに由来しています。「虎の威を借る狐」と似ていますが、こちらは他人の力を利用して事を成し遂げる、という意味合いになります。
有名人の名前を出して交渉するなんて、虎に乗りて狐を討つやり方ですね。
勢いが盛んで、行動力があることのたとえ。また、子を思う親の気持ちが深いこと。
虎は一日に千里を駆けて、また千里を戻ってくると言われていたことに由来しています。子を置いてきた虎が、遠くまで行ってもすぐに戻ってくることから、親の愛情のたとえにも使われます。
社長は国内外を飛び回っていて、虎は千里行って千里帰るという言葉そのものです。
トラは私たち人間にとっても怖い動物として知られています。その種類によって生息地はバラバラですが、主にインド、中国、ロシア、ネパール、タイ、ベトナム、インドネシアなどが挙げられます。また、トラはネコ科の動物の中では最大種といわれ、その迫力には本当に圧倒されてしまいますね。ですが、よく見るとネコ科だけあって、そのしぐさは猫そっくりなんですよ!種類はベンガルトラ、アムールトラ、アモイトラ、マレートラ、スマトラトラなどに分けられます。トラの最大の特徴といえば、あの黄色と黒の美しい縞模様ですよね。
実はこの模様、森に入ると保護色になるんですよ。キレイなだけでなく、自分の身を守るために大事な役割を果たすのです。住む地域により、全体の色が薄かったり、オレンジっぽい色をしているトラもいます。ライオンより足は遅いですが、ジャンプ力には優れています。さらに暑い地域のトラは泳ぎも上手ですね。ちなみにホワイトタイガーは、おもにベンガルトラに生まれる白い体色の個体で、独立した種や亜種ではありません。なお、ベンガルトラ自体は絶滅危惧種です。
ここでは虎にまつわる伝説(昔話)を紹介しましょう。韓国に古くから伝わる「虎と干し柿」というお話を見ていきたいと思います!
昔々、ある夜のこと…一頭のお腹を空かせた虎が村にやってきました。エサを探してうろついていると、どこからか子供の泣き声が聞こえてきました。お母さんが言っています。「ほら、虎が来たよ!泣くのはおよし。」それを聞いていた虎はなぜ自分がいると分かったのか、びっくりしました。子供はいつまで経っても泣き止みません。お母さんはついに「泣き止まないなら、虎にあげてしまうわよ!」と叱りつけました。やっとエサにありつけると思い、玄関で口を開けて待つことに…。
しばらくしても何も起こりません。すると、お母さんの「干し柿よ。」という声が聞こえてきました。と、子供が泣き止んだのです!あれほど泣いていた子が静かになったのなら干し柿というやつはよほど怖いものなんだ…と虎はおびえ、牛小屋へ逃げました。そこには偶然、泥棒が隠れていて暗やみの中、泥棒はトラを牛と間違えて乗ってしまったではありませんか!?怖い、これが干し柿だ!虎はとっさにそう思いました。そして、怖さのあまり猛スピードで走り続けましたが、泥棒も振り落とされません!そのとき夜が明けはじめ、ようやく虎に乗っていたことに気づいた泥棒は、虎が木の下を通ったときに枝にぶら下がりました。虎のほうもようやく干し柿という怪物から開放されたと思い、森へ帰っていきました。
韓国や朝鮮半島では虎が登場する昔話がたくさん語り継がれています。ほかに、どんなお話があるのか探してみるのも面白いかもしれませんね!