第1位 ── 魚(21回)
堂々の1位は魚でした!
「魚のことわざ」のページで紹介している20に加えて、猫のページの「猫を追うより魚をのけよ」でも1回登場しています。
魚が強いのには、はっきりした理由があります。ひとくちに魚といっても、鯛、鰯、鯉、鯖、河豚、泥鰌と、種類ごとに「ことわざ」があるからです。「腐っても鯛」「鰯の頭も信心から」「俎板の鯉」…どれも違う魚ですよね。海に囲まれた日本ならではの結果と言えるでしょう。
このサイトでは、たくさんの動物の「ことわざ」を紹介してきました。では、いちばんたくさん「ことわざ」に登場している動物は、いったいどの動物なのでしょう?気になったので、実際に数えてみることにしました。ここでは、その結果を発表しましょう!
まず、数え方を説明しておきますね。
今回数えたのは、このサイトで紹介している「ことわざ」だけです。世の中のすべての「ことわざ」ではありませんので、そこはご了承ください。動物別の18ページに掲載している、全部で186の「ことわざ」が対象になります。(十二支のことわざのページは、各ページで紹介したものをまとめたページなので、今回は数えていません)
そしてもう一つ、大事なルールがあります。それは「その『ことわざ』に出てくる動物を数える」ということ。たとえば「犬猿の仲」なら、犬に1回、猿にも1回と数えます。「鶏口となるも牛後となるなかれ」なら、鶏と牛の両方に1回ずつ。こうすると、ほかの動物のページにこっそり顔を出している動物も見つけられて、なかなか面白いんですよ。
なお、鯛や鰯は「魚」に、蟻や蜂は「虫」にまとめています。ただし鶏と鶴は専用のページがありますので、鳥とは分けて数えました。
では、さっそく結果を見ていきましょう!
堂々の1位は魚でした!
「魚のことわざ」のページで紹介している20に加えて、猫のページの「猫を追うより魚をのけよ」でも1回登場しています。
魚が強いのには、はっきりした理由があります。ひとくちに魚といっても、鯛、鰯、鯉、鯖、河豚、泥鰌と、種類ごとに「ことわざ」があるからです。「腐っても鯛」「鰯の頭も信心から」「俎板の鯉」…どれも違う魚ですよね。海に囲まれた日本ならではの結果と言えるでしょう。
2位は虫でした。小さな生き物なのに、たいした健闘ぶりですよね。
「虫のことわざ」の16に加えて、「獅子身中の虫」「牛の角を蜂が刺す」「猿の空虱」で3回。蟻、蜂、蜘蛛、蚊、蚤、カマキリ、カタツムリ…こちらも種類の豊富さが効いています。
「牛のことわざ」の13に加えて、ほかのページにも5回登場しています。「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」「羊をもって牛に易う」など、ほかの動物と組み合わさった「ことわざ」がとても多いんですね。
鷹、鳩、鵜、烏、雉、燕、雀…「鳥のことわざ」のページには、実にさまざまな鳥が登場します。ひとくちに鳥といっても、その性質はまったく違いますからね。「ことわざ」もそれぞれの特徴をしっかりとらえているんですよ。
「鶏のことわざ」の14に加えて、牛のページの「鶏口となるも牛後となるなかれ」で1回。
鶏が強い理由は、卵の存在です。「卵に目鼻」「累卵の危うき」など、卵の「ことわざ」もちゃんと数に入ってくるんですね。
6位以下は、猿・龍・狐が各13回、馬が12回、羊が11回、虎が10回、犬と狼が各8回と続きます。
さて、ここまで読んで「あれ?」と思った方もいるかもしれませんね。
実はこのランキング、ページにたくさん「ことわざ」を載せている動物ほど上位に来るという仕組みになっています。魚のページには20、虫のページには16の「ことわざ」を載せていますから、それだけで有利なんです。逆に、犬や猫のページは5つずつですから、どうしても不利になります。
これでは本当の実力は分かりません。そこで、もう一つの数え方を考えてみました。
こちらは「自分のページ以外に、何回顔を出しているか」を数えたものです。これならページの長さは関係ありません。ほかの動物の「ことわざ」にまで登場するということは、それだけ言葉の世界で存在感があるということですからね。
ここで堂々の1位に躍り出たのが馬でした!
「意馬心猿」(猿)、「馬を鹿に通す」(鹿)、「老いては麒麟も駑馬に劣る」(麒麟)、「牛も千里、馬も千里」(牛)、「牛は牛連れ、馬は馬連れ」(牛)、「狐を馬に乗せたよう」(狐)、「竜馬の躓き」(龍)。実に7つもおじゃましています。
馬は田畑を耕し、荷物を運び、人を乗せて旅をする——昔の人にとって最も頼りになる働き手でした。だからこそ、ほかの動物を語るときにも、比べる相手として馬が持ち出されるんですね。「速い馬」「遅い駑馬」と、スピードの基準にもなっています。
総合3位の牛が、こちらでも上位につけました。「学は牛毛のごとく」(麒麟)、「羊をもって牛に易う」(羊)、「牛を飼うに羊を飼う心をもってせよ」(羊)、「鶏を割くに焉んぞ牛刀を用いん」(鶏)、「鶏を盗む者は牛も盗む」(鶏)。
面白いのは、牛が出てくるとたいてい「大きいもの」の代表として登場することです。鶏や羊と比べられて、大きさの基準になっているんですね。馬が「速さ」の基準なら、牛は「大きさ」の基準というわけです。
虎も5回。「羊質虎皮」「群羊を駆って猛虎を攻む」(羊)、「竜虎相搏つ」「雲は竜に従い、風は虎に従う」(龍)、「虎口を逃れて狼穴に入る」(豚と狼)。こちらは「強さ」の基準ですね。比べられる相手は、羊や狼といった動物たちです。
「羊頭狗肉」「鶏鳴狗盗」「竜を描いて狗に類す」。実は三つとも「狗」という字で登場しているんですよ。これは中国から伝わった故事成語に使われる、犬の古い言い方です。しかも三つとも、あまりいい役ではありませんね…。日本の「ことわざ」では頼りになる犬が、中国由来の言葉では分が悪いというのは、なんだか面白い対比です。
ここで一つ、変わったケースを紹介しましょう。鶴です。
鶴には「鶴と亀のことわざ」という自分のページがあります。ところが「鶴の一声」「鶴は千年、亀は万年」「掃き溜めに鶴」「焼け野の雉、夜の鶴」は鳥のページに、「鶏群の一鶴」は鶏のページにあるんですね。つまり自分のページより、よそのページのほうが出番が多いという、ちょっと気の毒な動物なのです。
もっとも、それだけ鶴が「めでたい鳥」「美しい鳥」として、いろいろな場面で引き合いに出されてきたということでもありますね。
二つのランキングを見比べると、面白いことが分かります。
総合ランキングで上位に来たのは、種類の多い動物でした。魚、虫、鳥、鶏(と卵)。ひとくくりに見えても、中身は鯛や鰯、蟻や蜂と、実に多彩なんですね。それだけ昔の人が、細かく見分けながら暮らしていたということでしょう。
出張ランキングで上位に来たのは、物差しになった動物でした。速さの馬、大きさの牛、強さの虎。ほかの動物を語るとき、人はこの三頭を引き合いに出してきたのです。身近すぎて、比べる基準そのものになってしまったんですね。
そしてもう一つ。象や獅子(ライオン)、麒麟のように日本にいなかった動物は、どちらのランキングでも2回どまりでした。これらの「ことわざ」はすべて中国やインドから伝わってきたものです。知識としては知っていても、日常のたとえにはなりにくかったのでしょう。この話については「ことわざにあまり出てこない動物たち」でも詳しく書いていますので、あわせてご覧ください。
「ことわざ」に出てくる動物の顔ぶれは、昔の人の暮らしを映した鏡——このランキングは、それをそのまま数字で示しているのかもしれませんね。
ランキングに登場した動物たちの「ことわざ」は、「動物にまつわることわざ」のページからご覧いただけます。あなたの好きな動物は、何位にランクインしていましたか?