蛙が鳴くと雨
おおむね正しい
アマガエルは湿度が高くなると、鳴き声が活発になります。皮膚で呼吸をする蛙にとって、湿り気は体を保つために欠かせないもの。雨が近づいて空気が湿ってくると、活動しやすくなるんですね。
昔はアマガエルが天気予報代わりに役立っていたというのも、うなずける話です。ただし、蛙は繁殖期にもよく鳴きますので、鳴いているからといって必ず雨が降るわけではありません。
「猫は寒がり」「蛙が鳴くと雨が降る」。昔の人が言い伝えてきた動物の「ことわざ」ですが、実際のところはどうなのでしょう。ここでは、動物の生態という観点から、いくつかの言葉を確かめてみることにしましょう。当たっているもの、外れているもの、どちらもあって面白いですよ。

おおむね正しい
アマガエルは湿度が高くなると、鳴き声が活発になります。皮膚で呼吸をする蛙にとって、湿り気は体を保つために欠かせないもの。雨が近づいて空気が湿ってくると、活動しやすくなるんですね。
昔はアマガエルが天気予報代わりに役立っていたというのも、うなずける話です。ただし、蛙は繁殖期にもよく鳴きますので、鳴いているからといって必ず雨が降るわけではありません。
正しい
雨が近づくと湿気が増し、燕の餌である小さな虫の羽が重くなります。すると虫は低いところを飛ぶようになり、それを追いかける燕も低空を飛ぶというわけです。
因果関係がはっきりしていて、科学的にもよく説明のつく言い伝えですね。
正しい
晴れた日には、地面が温められて上昇気流が生まれます。鳶はその流れに乗って、羽ばたかずに高く舞い上がるんですね。輪を描いて飛んでいるのは、気流に乗っている証拠です。
正しい
「馬は愛情を注いでくれる人の顔を一生覚えている」と言われますが、これは研究でも裏づけられています。馬は人の顔を識別し、表情まで読み取ることが分かっているんですよ。
数年ぶりに会った人を覚えていた、という報告もあります。
正しい
追い詰められたネズミが猫に噛みつくというのは、実際に起こります。動物には「闘争か逃走か」という反応があり、逃げ場がなくなれば攻撃に転じるんですね。これはネズミに限った話ではありません。
正しい
これは動物というより土木の話ですが、実際に堤防の決壊は小さな穴から始まることが多いんですよ。水の流れが穴を少しずつ広げ、やがて一気に崩れる。昔の人の観察眼は、確かだったというわけですね。
根拠は薄い
「猫のひげは湿気を含むと重くなり、違和感から顔をこする」という説明がよくされます。けれど猫は、天気に関係なく一日に何度も毛づくろいをするんですね。
猫の毛づくろいは、体を清潔に保つため、体温を調節するため、気持ちを落ち着けるためなど、さまざまな理由で行われます。雨とは結びつけにくいでしょう。
誤解
鶏は記憶力が乏しいと言われてきましたが、これは完全な誤解です。研究によれば、鶏は百羽以上の仲間を個体として識別できますし、人の顔も覚えます。
さらに、えさの場所を記憶したり、簡単な計算のような能力を示したりすることも報告されているんですよ。「三歩歩けば忘れる」どころか、なかなかの記憶力の持ち主ですね。
誤解
「猿は泳げない」という前提から生まれた「ことわざ」ですが、実際には多くの猿が泳ぎを得意としています。日本にいるニホンザルも泳ぎますし、東南アジアには水に潜って魚を捕る種もいるんですよ。
既存のページでも触れていますが、これは誤解から生まれた言葉なんですね。
ハズレ
「ライオンは我が子を谷底に落として、はい上がってきた子だけを育てる」という言い伝えですが、実際のライオンはそんなことをしません。
むしろ母ライオンは、子をたいへん大事に育てます。群れのメス同士で子育てを協力し合うことも知られていますね。厳しい教育のたとえとして広まった言葉ですが、生態としては完全な創作です。
誤解
闘牛で牛が赤い布に突進するため、赤い色を見ると興奮する…そう思われてきました。けれど牛は色の識別が苦手で、赤や青、緑の区別がつきにくいとされています。
では、なぜ突進するのか。答えは、布がひらひら動くからです。色ではなく、動きに反応しているんですね。赤い布が使われるのは、観客にとって見栄えがよいからだと言われています。
おおむね誤解
「鳥は夜になると目が見えなくなる」という意味で使われますが、これも誤解です。フクロウのように夜行性の鳥は、むしろ暗闇でよく見えます。渡り鳥も夜間に飛びますよね。
ただし、ニワトリは例外です。夜は本当に視力が落ちますので、この言葉はニワトリを見て生まれたものかもしれません。
半分は正しい
「猫はこたつで丸くなる」と歌われるとおり、猫が暖かい場所を好むのは事実です。猫の祖先は砂漠に暮らすリビアヤマネコとされ、暑さには強い一方で寒さは苦手なんですね。
快適と感じる温度も、人間より高めだと言われています。ですから「寒がり」という見方は、おおむね当たっていると言えるでしょう。
ただし、種類によってかなり違います。ノルウェージャンフォレストキャットやメインクーンのように、寒冷地で育った種類は厚い毛を持ち、寒さに強いため「猫は寒がり」と一括りにはできません。
誇張だけど、長寿なのは事実
もちろん、千年も万年もは生きません。鶴の寿命は20〜30年ほど、亀は種類によりますが、ゾウガメの仲間では100年を超える個体も確認されています。
とはいえ、鳥としても爬虫類としても長生きの部類ですから、長寿の象徴とされたというわけですね。
検証が難しい
山で暮らす人々の観察から、生まれた言い伝えです。動物が気候の変化を察知している可能性は否定できませんが、科学的に確かめられてはいません。
こうした言い伝えは「当たった年」が記憶に残りやすいという面もありますので、慎重に見る必要がありますね。
部分的には正しい
狸は驚いたときに一時的に動かなくなることがあります。これは「擬死(ぎし)」と呼ばれる防御行動で、死んだふりをして敵をやり過ごすんですね。
ただし、これは意識的な「ふり」ではなく、強いストレスによる一種の硬直状態だと考えられています。人をだまそうとしているわけではない、というわけです。
さて、こうして検証してみると、誤解だったり、ハズレだったりするものが意外に多いと感じたかもしれませんね。
けれど、ここで考えたいことがあります。ハズレているからといって、その「ことわざ」に価値がないわけではないということです。
「獅子の子落とし」は、ライオンの生態としては誤りです。でも「子を甘やかさず、試練を与えて育てる」という考え方を伝える言葉としては、今も立派に機能していますよね。
「猿の水練」も同じです。猿が泳げるかどうかより、「ありえないこと」を一言であらわせることのほうが、言葉としては大事だったのでしょう。
「ことわざ」は、科学の教科書ではありません。人の生き方や物事のあり方を伝えるための道具です。たとえに使われた動物が実際どうだったかは、二の次でした。
とはいえ、当たっているものを見ると、昔の人の観察の鋭さには驚かされます。
燕が低く飛ぶ理由を、湿気と虫の動きから説明する。鳶が輪を描く様子から、晴れの日が続くと読む。堤防が小さな穴から崩れることを見抜く——どれも、毎日じっと自然を見ていなければ気づけないことばかりです。
天気予報もなければ、科学的な説明もなかった時代。人々は目の前の生き物をよく観察して、そこから法則を見つけ出していました。その積み重ねが「ことわざ」として残ったわけですね。
ハズレているものも、当たっているものも、どちらも昔の人が世界を理解しようとした記録なのです。そう思うと、どちらも等しく面白いと思いませんか。
動物が教えてくれる天気の言い伝えについては「動物が出てくる天気のことわざ」のページでも紹介していますので、あわせてご覧くださいね。